新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査に関する共同声明

2020年4月15日に、新型コロナ肺炎の感染拡大について、危機感を共有している京都府立医科大学付属病院の夜久 均病院長そして両病院の感染制御部長とともに、院内感染を防ぐためのPCR検査について両大学病院として共同声明を発表しました。私たちの危機感は日本中の医療関係者が共有しているものだと考えますので、賛同する他の医療団体の皆様もぜひ声をあげていただきたいと呼びかけをおこないました。また、共同声明の内容については行政にも要望書を提出いたしました。

感染拡大にともない、無症候すなわち症状がない新型コロナウイルスの保有者が増加しています。そして、新型コロナウイルス肺炎に対する治療ではない、通常の医療や救急医療を無症候性ウイルス保有者が受ける機会が増えています。そのような医療行為に伴い、医療従事者や患者に院内感染が起こりますと、診療機能の低下・停止という状態に至り、診断できないあるいは治療できなくなる感染者が増加します。これに伴い無症候性ウイルス保有者がさらに増えていくことになります。まさに感染拡大・医療崩壊に向かう負の連鎖になります。この負の連鎖を断ち切るには本日の共同声明で述べましたPCRスクリーニング検査とそれに必要な個人防護具および試薬の確保が必要です。

厚労省および京都府等行政におかれましては、これまでもマスク等個人防護具の確保や支給にご尽力ご配慮いただいておりますことお礼申し上げます。

一方、医療現場において個人防護具が不足していることは報道されているとおりです。日本では国内に工場などの生産基盤が乏しく輸入に大きく依存してきたN95マスクの需要に供給が追い付かないこともあり、本来使い捨てとされているN95マスクの再利用することについては、厚生労働省から通知がでております。

N95マスクとはいわば“防弾チョッキ”のようなものです。再滅菌し再利用されるN95マスクが、どれだけ確実にウイルスという“弾”を防いでくれる防弾チョッキなのかという点については、臨床現場は非常に心もとなく不安に感じております。私たち臨床現場もマスク等個人防護具を無駄遣いしないように、計画的に使用しておりますが、個々の施設の努力には限界があります。ウイルスとの戦いの最前線にある医療者を丸腰や無防備で戦わせることがないように、何卒よろしくお願い申し上げます。

 海外では複数のファッションブランドが続々と自社工場でマスクや防護服の生産を始めているようです。日本でもこれまで医療を扱ってこなかったいくつかの製造企業においてそのような動きが出始めております。世界に誇る技術立国の日本です。産業界の皆様におかれましては、輸入に頼らないでも国産N95マスクがウイルスとの闘いの最前線にいきわたるよう新規生産や増産について至急ご検討ご高配いただければ幸いです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査に関する共同声明” に対して1件のコメントがあります。

  1. 井上優 より:

    入院前検査として全ての適応する人(患者)に対してPCRを保健診療にて測定する事が最も重要だと思っており、両大学の嘆願書に全く賛成いたします。

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