慢性播種性カンジダ症の国際共同研究の成果がeClinicalMedicineに掲載されました
当教室の長尾美紀が参加した国際共同研究「Treatment and outcome of chronic disseminated candidiasis in the era of antifungal prophylaxis: a retrospective multicentre cohort of 111 patients」が、The Lancetグループの医学誌 eClinicalMedicine に掲載されました。
慢性播種性カンジダ症(chronic disseminated candidiasis:CDC、肝脾カンジダ症とも呼ばれます)は、主に血液悪性腫瘍などに対する治療中の高度な好中球減少患者に発症する、まれではあるものの重要な深在性真菌症です。近年は抗真菌薬の予防投与が広く行われるようになりましたが、CDCは症例数が少なく、最適な抗真菌薬の選択や治療期間について十分なエビデンスがありませんでした。
本研究では、国際的な研究ネットワークを通じて集積されたCDC 111例について、患者背景、抗真菌薬による治療、治療反応および予後を解析しました。その結果、使用された抗真菌薬の治療戦略による治療反応や生存率の明確な差は認められませんでした。一方、実臨床における治療期間は従来報告されてきた期間より短く、CDCの治療期間をすべての患者で一律に設定するのではなく、病状に応じて個別化できる可能性が示されました。
本研究は、エビデンスが限られていたCDCについて、現代の抗真菌薬予防時代における大規模な国際多施設データを提示したものです。今後、免疫学的バイオマーカーやPET/CTなどを組み合わせ、個々の患者に応じて抗真菌薬治療の期間を判断するための前向き研究につながることが期待されます。
論文情報
Reinhold I, Ramirez-Sanchez IC, Chen P-Y, et al.
Treatment and outcome of chronic disseminated candidiasis in the era of antifungal prophylaxis: a retrospective multicentre cohort of 111 patients.
eClinicalMedicine. 2026;100:104194.
doi: 10.1016/j.eclinm.2026.104194
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(26)00447-5/fulltext
